。・*☆出会いと謎の幸運☆*・。


この日 僕は あの猫と 出会った・・・


「はー・・・。今日も雨だねぇ。」

カービィがため息をついてぽつりと言った。

「暇だよぉー」


カービィはベッドに潜り込み、ごろごろと動いていた。


その時・・・


「ズガガーン!!!」

雷だろうか。 凄い音がした。

「きゃー!!!」


カービィは驚き。布団にくるまった。

しばらくすると。


「にー・・・」

弱々しい声・・・。 猫の声だろうか。

それは明らかに弱っている声だ。


カービィは、そっとドアを開けて。あたりを見回した。

「ん・・・?」

そこには、もう動けない、びしょびしょでボロボロで痩せこけた黒猫がいた。

「うわっ・・・」

カービィは、こんなボロボロな猫を見るのは初めてだった。

しばらく口をあけて驚いていた。

「にー・・。に・・・」

もう目も開けれないほどだった。

「可哀想に・・・。オマエ、僕の家においで。」

カービィは黒猫を優しく抱き上げた。

そして、暖かいカービィの家に入れてあげた。

カービィは、柔らかなタオルで拭き、傷の手当てをした。

雑だが、包帯も巻いてあげた。




「僕が飼ってあげるからね・・・。」

カービィは 優しく、優しく 話しかける。

「そうだ、名前決めなくちゃ・・・うーん・・・。」

やはり、迷ってしまう。

「お前黒いから・・・。でも目が青くて綺麗・・・。」

ぱっとカービィの頭に思い浮かんだ。

「いずみ!!! お前黒いけどいずみって名前にするよ!!」

「にー・・・」

あまり鳴けない猫だけど、カービィは幸せにしてあげたかった。


──次の日──


「わぁ・・・!!凄い!!お天気だぁ!!」

カーテンを開けると、昨日、雷だったとは思えないほど、美しい空が広がっていた

「に・・にー」

「いずみ!遊びに行こうか!」

カービィは興奮していずみと外に飛び出した。

そして、いずみと一緒に色々とお出かけすることになった。

「プププ高原にGO!!」

「にー、にゃー。」


「走れぇーーー!!!!」

カービィは、高原まで走っていった。


「はふっはふっ・・・げほっ」

「フッフッフハッケフッ」

「あはは・・・。いずみ、体力・・あるじゃん!!げほっ・・」

涼しげな高原で、いずみと座って風を感じていた。

「・・・涼しいネェ〜いずみぃ〜♪」

「にー・・」


言葉なんて通じるはずはないけど、いずみは返事をしてくれる。

「それに・・・。お前、結構元気になったね。」

「にゃ」

「だんだん太くなってきてるなぁー!! あはは!!」


高原の涼しさで、汗が乾いていたころ。アドが通りかかった。

「あ、カー君!やっほー。」

「アドちゃんやほーっ!」

「にー。」

「・・・あれ?その猫どうしたの?」

「あ、これは・・昨日拾ったんだぁ。うちで飼う事にしたんだ」

「へぇー。可愛い♪」

「そうでっしょ!いずみっていうんだ」

「にー・・。」

「でね、カー君!!」

「うん?」

「明日、スケッチにプププ山脈まで行かない?」

「わぁ!行きたい!行く行く〜!!」

「じゃあ○時から○○でね・・。来てねカー君」

「OK!!」

カービィは嬉しそうに約束した。

「じゃあ、帰ろうかいずみ!」

「にー。にゃー。」


また、家まで走って帰ることになった。

どんどん いずみと カービィは 家族のように なっていった。

そして、家について。カービィは天気をチェックするために、天気予報の番組に回した。

〔お天気予報です。こんにちは〕

〔明日のプププランドのお天気は、大雨で100%です。〕

〔えー、これは絶対に降るという事ですね〕

「ガーン!!」


カービィは約束が無理になるのでショックだった。

「僕っていつもなんでこう不幸なんだろ・・・。

いつも痛い目にあったり、食べ物落としたり・・・」

「にー・・」

いずみが落ち込んでいるカービィをぺろぺろと舐めた。

「いずみ・・・。もぉ、可愛いなぁ・・・」

カービィはいずみを抱き上げ、なでてあげた。

そして、無意味な次の日がやってきた。

「あーあ。カーテン開けるのも嫌だよ。天気で気分が違うからなぁ・・・。」

あきれた顔でカーテンを開けた。


カッ・・・・

「うわっ!?」

驚いた、大雨というはずが、眩し過ぎる位の天気だったのだ。

「これは・・・なんで・・?凄い・・」

カービィはしばらく立っていた。

そして 急いで用意をして、いずみを連れて プププ山脈へ向かった

「カー君やっほぉー!!」

「カービィ、おはよ!」

そこにはアドとワドルディがいた。

「今日は晴れてびっくりだよねぇ!!」

「うん!アタシもね、夢かと思ったよ!」

「僕もびっくりしたぁ」

「・・にしても眺めがいいよねぇー」 「そうね、特に今日は晴だから・・・。」

「綺麗ー、僕はここらへんを描こうかな」


でも、カービィは今日は珍しいと思った。


いつも不幸な目にあっていたのに、今日はこんないいことがあるなんて。

カービィはペイントになって、スラスラと絵を描き始めた。

いずみは、初めて見る美しい眺めを見ていた。

いずみの目はとても輝いていた・・・。


「・・・。いずみを描いてあげようか」

カービィは体をいずみの方へ向けて、いずみを描き始める。

「・・・あちゃぁー。間違えたぁ。やり直そう」

「・・・うわ また間違えたぁぁ。」

「・・うーん・・えーと。」

カービィは真剣に描いている。

「出来た・・!出来たよいずみ!」

「うわぁ、カー君凄い・・!!」

「本当だ!上手い、リアルだよ!」

その絵はすばらしい物だった。

いずみの輝いた目もよく表現されていた。

「ふはー!疲れた・・でも自分でもこんな絵が描けるとは思ってなかったなぁ・・・。」

「あはは」

「じゃぁ、帰ろうかな。疲れたし。」

「にー。」

「バイバイカー君」

「バイバイ」

「バイバイ〜!!」

カービィは手を振って坂を下りていった。

「ん?いい匂い・・・」

そこには 大福が売っていた。

「うっわー美味しそう!!」

「・・でもお金ない・・・。」

「にー。」

その時一瞬、いずみの目が光ったように見えた。

すると、大福屋の店がいきなりバランスを崩して、大福が全部散らばった。

「あー!大福が散らばってる!」

大福屋は、いそいでどこかへ行ってしまった。

「この大福、落ちてるけど食べちゃお♪」

カービィはまたまた幸運となったのだ。

「でも偶然だなぁ・・・。」

「にー?」

「お前と会ってからかなぁ?幸運が続いてるような気がするよ」

カービィはにっこりと、笑顔をいずみに見せた。

それからも、幸運は続いた──

天気、物、運勢、怪我。

なぜかみんな良くなっている。

「は〜っ、人生って楽しいなぁ〜!」

「にー」

カービィはとてもいい気持ちだった。

「いずみ〜」

「にゃ」

「・・・大好きダヨォ♪」

「にー♪」

とてもいい気分だったので、カービィは珍しく読書をし始めた。

【人生について】という本だった。

〔あなたの人生はどうでしょう?幸せですか?不幸ですか?

不幸な人は、いつか必ず幸せはやってきます。

でもそれは永遠ではないのです。〕

「・・・」

カービィはもくもくと読書をしていった。

〔幸せな人は、そのことに頼って楽に生きていませんか? いつかは必ず不幸だってやってくるのです。

でもそれを乗り切って、また幸せへとつながります。〕

「不幸・・・幸せ・・・か。」

もうカービィはそのままうとうとと眠りに入ってしまった。

いずみもすぐにカービィのふとんに入って一緒に寝た。


ぐに朝はやってきた


「くぅーっ。ふわぁぁ」

「にー」

「うわ、起きてたの?おはよーいずみ。」

いつもと同じいずみとの朝。


でも今日は何かが違う気がする。

何か嫌な予感がする、この胸騒ぎはなんだろう。

「にゃー。」

「いずみ・・・平気だよ。」

「ペロペロ・・」

いずみは心配しているのか、カービィを暖かく舐めた。

「いずみぃ・・・。」

カービィはまたいずみを抱き上げてなでた。

愛情を込めて込めて・・・。

そして、今日は散歩に出掛ける予定で、カービィはいずみと散歩に

出掛けた。

「なんか今日は肌寒いし、霧があって薄暗いねぇ。」

いずみはカービィの足にぴったりとくっついてしっぽをピンと立たせていた。

本当に薄暗い道・・・。

これじゃあ不安感だって半端じゃない。

「今日は帰ろうか・・・いずみ。」

「にぃー。」

カービィはUターンして、家に帰ろうとした。

しかし・・・。

「何も・・・霧で見えない・・・。

ここは何処なんだ・・・?」

もう見えるのはいずみだけだった。

「帰れない・・・」

もう朝なのに暗く、寒く、怖かった。

──その時だった──


ライト・・?のようなものが向かってきた。

そして、それは車だった。

「うわぁー!!!」

車はきづいてないのか。カービィに向かってきている。


その瞬間─まただ・・・いずみの目が光って

何かが起こった・・・。


キキィーーーッッドガジャッ!!!

「え・・・・?」


「い・・・ず・・み・・・?」


カービィに見えたものは、間違いなくいずみだった。

今はっきりと全てが分かった。

今までの幸運は、全ていずみが恩返しにしてくれたのだ。

目が光った瞬間、いずみの力が発揮していた・・。

今もそうだった。目が光って、カービィは轢かれなかったのだ。

変わりにいずみが・・・。

「や・・・だ・・・、嘘でしょいずみ!?やだ!!わぁぁあぁ!!」

もうカービィはショックで狂いそうだった。

「いずみ・・・!!いずみ!!やだ・・・こんなの幸運じゃないよ!

いずみがいるだけで幸せだったのに・・・。いずみぃー!!!」

カービィはいずみのボロボロな体を抱きしめた。

「いずみ・・・いず・・み・・。なんで・・?なんでだよ・・・

こんな・・・僕のために・・・。」


そして、いきなり霧は消えて、晴となった。

すると、いずみの体が空に融けていく・・・。


「い・・ずみ・・・・?」

サラサラと・・・美しい空に解けていった。

カービィは涙が出そうなのをこらえて、空を見つめた。

すると、空から紙が落ちてきた・・・。

「何コレ・・・。」

それは手紙だった。それにはこう描いてあった。


『ガンバレ』

カービィのこらえていた涙が噴出してきた。

「いずみ・・・」

「そうか・・・ありがとう、頑張るよ・・。もう泣かない」


そして次の日・・・


「カー君おはよー!!」

「カービィおっはー」

ワドルディとアドが呼んでいる。

「あ・・。」

「どしたのカー君?」

「あのね・・・いずみが・・・」

「いずみ??」

「え?ほら、見せたじゃんか、黒猫・・・スケッチした日に・・・」

「いや?知らないなぁー。」

「僕も知らないよカービィ?寝ぼけてるの?」

「え・・・?」

二人の顔は嘘なんかついてない顔だった。

「あはは・・・変なカー君!!」

「・・・そんな・・?」

カービィは家まで走った。 

やはり、いずみの付けた汚れもなくなっている。

いずみは最初からいなかったってこと?

でも、スケッチをした日・・・。

その、いずみの絵が残っていた。

「やっぱりいたんだよ、いずみは・・・。」

でもこれは僕の心の中に閉じておいて・・・。

1人で受け止めるんだ、この不思議な現実を・・・。

いずみは僕にいろんなことを教えてくれたね・・。


最後にカービィはこういずみに言った。

「いずみ、ありがとう」


キミと過ごした日々・・・いつまでも心の中で忘れない・・・。





〜管理人の感想〜
いやあ、ハートフルなストーリーですねえ。
背景描写もすごく上手いですけれど、
何より、カービィといずみのふれあいが美しかったです。
いずみが消えていくラストが切ない・・・。

幸せの後には必ず不幸が来る。
その不幸を乗り越えて、幸せになる。
まさに、『楽は苦の種、苦は楽の種と知るべし(徳川光圀の名言)』ですね。