偶然から学ぶコト
第3話 仲間集めで体力消耗


夢の泉に行くことが決定し、進んでいる途中。

結構な距離をリボンは飛び、カービィとメタナイトは徒歩で来た。

カービィとリボンは意気揚揚としていて楽しそうだが、

・・・その隣で、対象的にげんなりしているメタナイト。

時々はぁ、と溜息をはきながら、それでも二人の先頭に立って歩いている。

そんなメタナイトを見てカービィが、一言。

「メタちゃん・・・。年取ったねー・・・。」

「お前のせいだッ・・・!!」

今は大丈夫だが、先程までは3歩進んではお腹がすいた、10歩進んでは疲れた、と言って動かなくなるカービィを、メタナイトはその度ごとに必死に引きずってきた。

疲れるのも当たり前と言っていいかもしれない。

リボンには当然手伝えない。

と言う訳で、“カービィとメタナイトは徒歩で来た”ではなく、カービィはほぼメタナイトが引きずってきた、が正解だ。

(待て・・・?確か02戦の時にリボンはカービィを支えてたという話を誰かから聞いたような・・・)

メタナイトは、朧気ながらも思い出した。

然し思い出した所で、今、何かそれを使える場面があるのかと言うと、答えられない。

(意味が無い、と言った所か。)

メタナイトがそういう結論を出した丁度その時、リボンがカービィに問いた。

「カービィさん、そういえばなんでメタナイトさん怒ってたんですか?」

「・・・え?」

「えっと、川に落とされる前に凄い猛攻受けていませんでした?」

「あ、あれはぁ、僕が・・・。」

カービィの言葉が、途中で途切れる。

その顔は、蒼白になっていた。

「?」

見事リボンが頭上にクエスチョンマークを召喚して。

辺りを見まわして、カービィを見て、口を噤んだわけを、知った。

冷汗をかいているカービィの頭のほうに、

銀色の鉄が、いや剣が、押し当てられていて。

メタナイトが、カービィを睨みながら。

「言うなよ・・・?」

―――――一言呟いた、だけだった。

すぐに剣をしまい、何事も無かったかのように歩き出す。

慌ててカービィとリボンもメタナイトの後に続いた。

(怖かったぁ・・・。本当にカービィさん、何やったんだろう・・・?)

カービィよりも冷汗を掻いていたリボンだった。

「はぅぅ・・・。今日で2回目だぁぁ・・・。」

そして、一人しょんぼりとしていたカービィが、溜息をついていた。


先程の事件から、少し経った頃。

「それじゃあさ、リボン。伝えたいことって、何か言ってなかった?もしかしてまた、闇・・・?」

会話が途切れるのが嫌で、カービィがリボンに聞いた。

言葉の語尾が少しだけ、震えている様だった。

然しリボンは首を横に振り、

「ううん、違います。そうじゃなくて、―――――変な感じがしたんです。」

「どんな?」

気が付くと、メタナイトも注意深く聞いているようだった。

「どんな、って・・・。とにかくこのポップスターで、何かやっぱり嫌な感じが。」

「ポップスターで・・・!?」

かなり吃驚する。

てっきりリップルスターだと思っていた。

「闇ではないとしたら、無?」

「闇でも、無でもなくて・・・。あやふやな、でも、強く残るような・・・。」

・・・説明が意味不明だ。だが、


「悪夢、か?」


何気なく呟かれたメタナイトの言葉。

「あ・・・。そうですっ、それが一番適切っぽいです!!!うわぁ、よく分かりましたね〜。」

「・・・やっぱ、そうなんだ・・・。」

スターロッド。

そして悪夢。

「今日は夢、見られないなぁ〜。」

と、言いつつメタナイトのいる方向を横目で懇願する様に見つめるカービィ。

メタナイトはその意味を悟ったが、まさかそんなことは無いだろうと思って、

多少うろたえながらもカービィに聞く。

「まさか、私に倒せとは・・・。」

「やっぱ、面倒だし〜♪」

次の瞬間。

ぶち、と軽く何かが切れる音がして、


ズガァッ!!


カービィが地面に突然叩きつけられた。

・・・剣では切られていないようだ。

その一撃の後、ほんの少しの静寂が辺りへ訪れた。

「今日中で3回目だぞ?」

そういうメタナイトの手は、ほんの少しだけ、赤くなっていた。

力一杯殴った証拠だ。

「だからさぁ、3回目だから少しくらいは軽く・・・。いててて・・・。」

いつもはこんなに怒られることなんか無いのになぁ、と、リボンの方を見る。

予想どうりに。

目を輝かせながら、事の進展を見つめ続けていた。

然し、しばらくすると終わったのに気が付いたのか、

「あ〜あ・・・。つまんないです・・・。」

と小さく呟いた。

(リボン・・・・!?)

自分が観察されているのをリボンは知らない様だったが、

カービィはリボンがどんな性格をしているのか、真面目にいつか調査してみたくなった。


突然カービィが、立ち止まる。

そこで一息ついて、

「それよりさ、今思いついたんだけどさぁ、みんな呼ばない?」

言った。

「・・・遠足に行くわけじゃないんだぞ・・・?」

「いや、やっぱりみんな一緒の方が楽しいし♪お弁当もってさぁ〜♪」

すっかりいつのまにかピクニック気分になっているカービィ。

(・・・お弁当を持ってきてどうするんだ?もう昼は過ぎている筈だが・・・。)

と、メタナイトは真面目に心の中で突っ込みつつ、口に出すとその“ピクニック(仮)”を認めることになり兼ねないので胸の内にしまっておく。

そして、

「人の話しを聞け・・・。それに、ちょっと見るだけじゃなかったのか?」

何故カービィが決めたときあんなに喜んだのか、分かったような気がした。

「異常があったら調べて、無かったら遊ぶの☆リボンもそっちのほうがいいよねっ!」

「〜〜♪〜♪・・・え?あ・・・はいっ!!」

一人で鼻歌を歌っていた所に急に話しかけられて返答に送れたが、リボンは当たり前の様に同意する。

「カービィやリボンが良くても、私は・・・。」

言いかけた所に、リボンが素早くメタナイトの手を取り、無理矢理にあげさせて、

「メタナイトさんも同じ意見でーすっ☆全員一致で決定〜〜♪」

叫んだ。


「ちょっと待て・・・っ!!」

反論しかけたが、

「じゃあ、メタちゃんはアドとクーとリックとカインとピッチとチュチュとナゴって事で♪」

カービィが、連れて来て欲しい者の名前を言った。

・・・・・多すぎだ。

「いや、私は決めたわけじゃ・・・。と言うより、殆どじゃないか・・・?(汗」

「んじゃ、僕はグーイ連れてくるから♪」

そして軽く逃げられる。

「はい〜♪メタナイトさん、よろしくお願いしますね☆」

「待て待て・・・。まだ私は決めて・・・。」

「寝てても抵抗しても、何やってもカービィさん連れてこいって言ってたし・・・。気絶させても仮死状態にしちゃってもいいので、とにかく連れてきてください♪」

リボンは一向にメタナイトの話を無視し続ける。

それに加え、かなり恐ろしい事を言っていたような気もする。

「だから、あの、いや、私は・・・。」

口調がしどろもどろになる。

そんなメタナイトを他所に、リボンが紙を取りだし、無理矢理手渡す。

「これ、カービィさんが多分みんなのいる所を書いたものです!参考にして下さいね〜」

「だから・・・。」


「じゃっ♪」


その一言を言い放ってカービィの帰りを待とうと背を向けるリボンを見た時、

メタナイトは自分のある意味での“弱さ”をしっかりと感じた。


そして。


辺りに、荒い息の音。

「はぁっ、はぁっ・・・!!」

すっかり風景がオレンジ色に染まりきる頃、カービィとリボンとグーイがおやつを食べている所へ、

メタナイトが言われた通りに皆を連れて来ていた。

一部、無事じゃないものもいたが。

「あ、メタちゃん!!」

カービィがまず、最初に気が付く。

片手にクッキーを持ったままメタナイトに近づき、少しだけ心配そうな顔をした。

「大丈夫?」

それは当たり前の対応だろう。

しかしそれが少しメタナイトには嬉しかった。

皆をわざわざ連れてきた途中にどんどんと貯まっていった疲れ、怒り。

それが、その一言で癒される気がした。


――――カービィの口から、次に漏れ出す言葉を聞くまでは。


「ところでさ、何やってたの?」

一瞬で頭に血がのぼる。

「カー・・・ビィッ!!!」


ギュゥンッ!!!!!


剣が、空気を切り裂く音がした。

・・・既に衝撃波が発生している。

少なくとメタナイトが剣を振りぬく速さは音速を、超えていた。

「メタちゃぁぁんっ!!4回目!!4回目だからやめてぇぇぇっ!!!」

「カービィさん、頑張って〜♪」

カービィの悲鳴とリボンの声援があたりに響き渡る中、

無理矢理連れてこられた者達も疲れたのか、既に眠りについていた。


夢の無い、眠りに。




〜管理人の感想〜
カービィ、随分無責任だなあ。
でもまあ、彼らしいというかなんというか。
何だか修学旅行気分の冒険になりそうで、メタナイトの立場から言えば少し不安。
まあ、主人公の成長にご期待ってところかな?
リボンの毒のある性格もこれからどうなるかという感じです。