生命
「ちょっと街まで歩いてみようか。」
カ−ビィはグリ−ングリ−ンズの森をぬけて
隣にある名もないちっぽけな街に出てきた。
今は深夜の1時。
街はし−んとしていた。
街灯と月光りが顔を照らす。
カ−ビィはだんだんと自分が体から抜け出して、
星空に向かって上っていくような感じがした。
だんだん家が小さくなっていく。
それとは逆に月や星が大きくなっていくみたいだ‥・。
「あ、よぉ、カ−ビィ。」
その声ではっとカ−ビィは我にかえった。親友のワドルドゥだった。
「あ、こんなとこに何しに来たの?」
「お前こそ何しに来たんだよ。」
「………。」
「ま、そんなことどうでもいいや。
ちょっと川の方行ってみないか。」
「うん」
2人は川の方へ向かった。
川といっても、あさくて短い川だ。
だが、今の時代には珍しい、水が透きとおっていているきれいな川だ。
昼では魚が泳いでいる。
2人は川の脇の芝生に座った。
ちょっと時間がたってワドルドゥが言った。
「なぁカ−ビィ。人生って何なんだろうな・・・。」
「えっ?」
「俺たちって今は生きているけど、いつかは死ぬんだろう?」
「う‥うん…。」
「生命って生まれてから常に死に近づいてるんだよな。
それなのに、何でいつもが楽しいんだろう。」
「う〜ん…。」
カ−ビィは何と答えればいいのか迷った。
そして、よくまとまってないけど、直感で思ったことを言った。
「それは、遊ぶ喜び、食べる喜び、働く喜びとか
たくさんの喜びがあるからだと思うよ。
あと、ボクはワドルドゥやみんながいるから、
生きる喜びを感じられると思うんだ。」
「えっ?」
「きっと大切な人がいるから生の喜びを感じられて、前向きに生きていけるんだよ。」
「ふ−ん‥そういえばそうだよな。俺もカ−ビィとずっといっしょにいたい。」
沈黙がながれた。
でもちょっとしてワドルドゥが言った。
「じゃ、俺、そろそろ帰るよ。早く寝なきゃ。」
「じゃぁ、ボクも。ばいばい。」
「じゃあな。」
カ−ビィはいろんなことを考えながら歩いた。
本当にあれで良かったのだろうか・・・。大げさすぎただろうか・・・。
カ−ビィははっとした。
早く帰らなければ。家ではグ−イが待っているのだから。