〜〜〜〜〜失われた色〜〜〜〜〜
序章 〜失われた色〜
ポップスターのある日の朝のこと。
カービィは目覚ましの音で目覚め、ふとんをかぶりながら、ゲームをしていた。
綺麗で、あざやかな、ピンク色のゲームボーイで・・・。
♪チャッチャチャッチャチャラーラーラ〜〜〜♪
「ふぁぁ・・・、またゲームオーバーだよぉ・・・。」
カービィが舌打ちした。
「難しいんだよなぁ、このステージ。敵が強いし、回復アイテム一つもないし・・・。」
カービィがため息をついた。
「顔でも洗って、目を覚まそう・・・。」
カービィは洗面所に行った。
水道の蛇口をひねり、小さなピンク色の手で水をすくう。
すくった水を、いっきに顔にぶっかけた。
それを5〜6回くりかえした。
「プハァッ。いい気持ちだ♪」
カービィは完全に目が覚めた。
「ふとんに戻ってゲームの続きだっ。」
スキップしながら、ベッドに戻って行く。その時カービィは何かに気づいた。
「あれえ?僕の家の床って、こんな真っ白だったけなぁ・・・?」
カービィの家の床は元々、薄茶色だった。なのに今日は純白だった・・・。
「ま、いっか♪さっさとゲームしよっと。」
ゲームに夢中になっていたカービィは床の色を気にとめることはなかった・・・。
「つづき♪つづき♪」
カービィがゲームボーイのスタートボタンを押して、ゲームを再開しようとした時、
またカービィは異変に気が付いた。
「あれれれ!?僕のピンクのゲームボーイが真っ白だ!なんでよぉ・・・。白やだぁ!ピンク
がいいのに!」
床と同じく、ゲームボーイも純白だ・・・。
「うわぁ!画面も真っ白!こんのよくやってたなぁ。」
そう・・・。画面も純白・・・。
「うわわぁぁ!!よくみると、ふとんも真っ白!ベッドも真っ白!まくらも真っ白!
・・・・・・・・・・・・家具、壁、床・・・全部真っ白・・・。」
カービィはパニックになった。
「外は、どうだろぉ!?出てみよう!」
ドアを、いきよいよく開け、外に出た。すると、どうだろう!何もかもが純白だ。
ふわふわの芝生も、綺麗な空も、木も、それに実る果実も、家も・・・。
全て、純白だ・・・。自分の体も、つやつやした足も、綺麗な瞳も・・・。
「わ!わ!わ!ぜーーんぶ真っ白・・・。どうなってんのぉ!?」
カービィは完全にパニックになっていた。
パニックだけなのは、カービィだけではなかった。
他の住民もパニックしていた。
「どうなってんだよぉぉ!?」
住民のキャピィが悲鳴をあげる。
「真っ白!しろしろ、面白い〜〜〜♪」
こんな事態だというのに、ワドルディは歌っている。
「おい!カービィどうしたんだよ!」
親友のハムスター、リックがかけつけて来た。
リックの、ふさふさでつやのある毛も純白なので、犬にみえた。
「誰?犬?でも、リックの声にそっくりだよ。」
カービィが首をかしげた。
「馬鹿!俺はリックだ!リック!ハムスターのリック!」
リックが怒って、カービィをどついた。
「いてっ・・。ゴメン・・・。真っ白で、リックには見えなかったんだよ・・・。」
どつかれた痛い所を、おさえながら急いで誤った。
「いいんだよ。わかってくれれば。 話変えるが、カービィ!なんで何もかも白なんだよ!」
リックが怒って言った。
「そんなの僕だって、わからないよぉ・・・。」
カービィは言った。
「くそっ!なんでも白じゃやってられん!目が痛い!」
リックの怒りはおさまらない。
「まぁ、落ち着いてよぉ〜〜。」
カービィが説得する。
「落ち着けるかっ!!」
リックが地面をおもいっきり踏み鳴らした。
その時だった。リックが踏んだ地面の周りが、真っ黒になった。その真っ黒になった地面が、
バキバキと、すさまじい音を立てた。これによりリックは、3m位ふっとんでしまった。
「うあああああああああああ!!!!!!!」
リックが叫びながら、吹っ飛んでいく。
「リックゥゥ!!!」
カービィが急いでリックが飛ばされた所に向かおうとした。
が、真っ黒になった地面の直径が1m位に広がり、カービィを引き寄せた。
「ああっ・・・なにか・・すご・・い・・重力が・・僕・・・を・・・引っ張る・・あぁっ!!」
カービィは、だんだん黒い地面の中心に寄せられていく。
「ああぁっ・・・凄い重力が・・・かかっ・・て・・きた・・・助けて・・リックゥ・・あああ!!!」
すさまじい音でカービィの声はかき消され、リックにはとどかなかった。
リックは気絶していたので、音がなくてもカービィの声をとどかなかっただろうが・・・。
「ああ・・痛い・・・痛いよぉ・・・体が・・潰れちゃう・・痛い痛い・・・助けて・・・ねぇ
皆・・・リック・・・痛いっ・・・あああぁぁぁ!!!!!」
カービィは黒い地面の中心に引きこまれ姿を消した・・・。
すさまじい重力をうけ、苦しみながら・・・・。
〜続く〜