ハチマキ戦隊ハチマキジャー
朝。
第一章 能力
それはこの日にやってきた。
今は早朝5時。良い子はまだ寝ている時間である。
そこには研究室だった。
そこはひどく暗い森。入った者の中に帰ってきた人はわずか三人という『屍人の森』である。
その中に小さくたたずむ家があった。
木で出来た小さな家。丁度バンガローなどに使われていそうな家。
そこで激しく音を立てながら何かを実験しているのか、分解しているのか、とにかく機械を操作する音が聞こえた。
「フ・・・フハ・・・フハハハッハハハハ!!!」
そんな音の中負けじと聞こえる下賎な笑い声。
中には茶色の見事な無精髭を生やし、白衣を着た中年の男がいた。
そして周りには丸い機械のようなものがある。いっちょ前に小さな手が生えていた。
「マスター あマり笑ウと、マた、血圧が上がりマス。」
喋った。
その機械のようなものが『マスター』と呼んでいたその男はこっちを向いてこう言った。
「機禅、コレを笑わずに居られるものか!!ついに・・・ついに完成したのだ!私の望んでいたものが!!」
朝。今は丁度七時半である。
良い子はもうすっかりおきて学校へと向かう時間。
「ふああぁぁぁああ〜・・・・暇だなぁ〜・・・・・・・・・。」
というのん気で仕方が無い声をだしながらベットの上を転がる者がいた。
丸いボデーに青い澄んだ瞳を持つそいつは、皆から『カービィ』と呼ばれている。
そんな自己紹介はどうでもいいのだが。
ベットの横にある窓から顔をだし、雑魚敵が来るのを待ち望んでいる。
食い意地だけはった奴である。コレがいわゆる『くいしんぼ』。
「カービィ!!何やってんのさ!」
急にドアが物凄い勢いで開き、
そこから青い、カービィと同じ形をした物体Xが出てきたかと思うといきなりカービィをつかんで投げ飛ばした。
「何すんのさぁ!!!!!」
当たり前のようにカービィは反抗する。
「あのな!もうとっくに昼なんだよ!誰だよ!間違ったナレーターしてるのは!!!あと、誰が物体Xだ!」
スイマセン・・・・。
というわけで今は昼である。良い子は学校で給食を食べている頃。
彼の名は『ビット・ブルー』。通称『ビット』。
数々のボケにツッコミを入れてきた勇者だ。
学校では残念ながら普通に『ビット』と呼ばれている。彼は結構人気があるらしい。
「何が残念なんだよ・・・・。
とにかく、ホラ、カービィおきて。屍人の森で何かあったらしい。調査に行くぞ。」
「ぇえ?!何で?!だってあそこは誰も居ないはずでしょう!?
何でサ、何がおきたって言うの?話してくんなきゃ僕嫌だよ!!!」
屍人の森は住民全員が恐れる程の凶悪な森。
中は暗く、光をもってしても薄暗いといわれる。そこは死人が生き返ると言われる不思議な森だった。一般の住民は入ってはいけない。
入ったところで何もでいないのだ。中に入って帰ってきたのはたったの数名と言われている。
「ハァ・・・あのなーカービィ・・・。昨日言っただろ?あそこで『不思議な光が出て魔物が激減した』ってサ。
だから二人で『じゃあ、明日見に行ってみよう』。約束したじゃないか・・・・・。」
「・・・あ・・・・。」
「・・・ハァ〜・・・。呆れた。忘れたのか・・・?」
「うん。」
そこでビットの強烈パンチが来る。
「うわぁ〜・・・・嫌な感じ・・・・。やっぱり屍人の森って嫌いだよ・・・。」
「僕も・・・あまり好きなほうでは無いな・・・。」
此処は屍人の森。
二人は徒歩十分の所にあるバス停を使って屍人の森付近へ行き、降りた。そこから屍人の森へ向かった。
バス停から三十分以上かかってようやくついたのだ。
「じゃあ・・・・はいろ・・・ゴブッ!!!!」
ビットが言いかけたところで黄緑の・・・カービィ、ビットと同じ形態のものが突っ込んできた。
「・・・痛ーっ・・・。・・・って御前?!サイザか?!」
黄緑の―サイザと呼ばれたそいつはビットの次にこういう。
「うんうん。あのさーたまたま見かけたからついてきたー。」
のんびり調のサイザ・ケイはカービィ、ビットと同じの仲のいい奴そのすりぃ。だ。
サイザは続けて、
「あのさ、僕も一緒に行きたいな〜なぁんて・・・。駄目?」
と二人に聞く。
「一緒にいこうずぇー!」「別に構わないけど?」
二人で同時に言う。(左:カービィ 右:ビット)
そしてカービィ、ビット、サイザの三人は屍人の森へ入っていく。
顔の形をした木を素通りし、どんどん進んでいくビットについていくのがやっとの二人。
カービィは寒いのか怖いのかよくわからない顔でビットに聞いた。
「ねぇ〜・・・怖くないの?だって屍人の森だよ?帰れるのか、って考えてなかったよ・・・・ねぇってば?ビット?」
としつこく聞いてくるカービィにビットは、
「知らない。」
と答える。カービィとサイザの顔が青くなる。真っ青だ。
「え・・・。」「・・・・は?」
二人の顔は、特にカービィは眼が逝きそうである。サイザは苦笑いをしている。
そしてビットは楽しそうに、周りは見えていないかのように二人を無視してどんどん進んでいく。
そして―
「家・・・・?」
最初に言ったのはサイザだった。
小さな木でできた。バンガローなどにありそうな小さな家。
そこからは不気味な笑い声が聞こえていた。そして機械音も聞こえてきた。
静かな森の中に響く五月蝿い機械音。そして下賎な笑い声。
「もしかして・・・・これが・・・元凶なのかな?」
カービィはホットしたような、それでも少し怯えているような顔で一人、つぶやいた。
それを聞いたのかビットが答える。
「かも・・・しれないな・・・・。」
続けてこういう。
「くだらない・・・・。」
カービィとサイザは二人そろって苦笑いをし、そしてその家に近づいていった。
小さいその手で戸を叩く。
そして開いたかと思うと、ロボットがでてきた。
「マスターは今使イ物にナりマセん。」
「機禅!!何をしている?!」
「マスター、客人でス。丸い・・・生キ物?デス。」
そのロボットは、機禅はそのマスターにカービィ達の事を言った。
「・・・・むぅ・・・。丁度いい・・・。機禅、客人を入れろ。」
その男はカービィ達を家へ入れるように機禅に言った。
「わぁ〜中は案外広いんだねぇ〜。」
というのんびりしたサイザの声が家の中に響く。
中は木だと思ったのだが、意外に鉄などで埋め尽くされている。
いわゆる『カモフラージュ』。
「わしは大五郎。こっちは『機禅』。わしが作ったのだ。」
と自慢しそうな大五郎をとめるべく、カービィはあわてて聞いた。
「あ!あぁあ!そ、そそそーですか。ところでー、大五郎さんは何故此処に住んでいるんですか?」
質問をすると大五郎は嬉しそうに話し始めた。待ってましたといわんばかりに。
「実はなぁ〜。実験をしておったのだよ〜。わしゃー変身戦隊物が好きでな。出来るならば・・・・!
この住民共にもできるようなものを!とな。
そして昨日試したところ大成功だったんじゃよ!それでな、少し話はずれるんだが・・・・」
「僕達にそれを使えと?まぁ、丁度『実験体ができた』ってトコですか。」
大五郎の話をさえぎり、言ったのはビットだった。
カービィとサイザは二人で驚き二人で「えぇー?!」と叫ぶ。
「おやおや、頭のさえた子ですな。早い話がそうです。」
そしてその言葉にさらにカービィとサイザは驚き、叫ぶ。森の中から聞こえた機械音に負けず劣らずの声で。
「却下します。何ゆえ僕達がそんなこと・・・・ってうわぁ?!」
言いかけたところでカービィ達は囲まれていた。
機禅以外にもロボがいたのか、どんどんでてくる。戸の方もふさがれている!
「びびびびび、びび、ビット!どうすんのサ!」
カービィは叫ぶそこにサイザが終を告げる言葉を言った。
「でもぉ〜変身って・・・面白そうだねぇ〜♪」
ソレをいった時、もう遅かった。
急に目の前が真っ暗になり、そして、意識が薄れていった。
気が付いたときそこは家の前だった。
三人一緒に家の前で倒れている。そしてカービィが先に気が付いた。
「う・・・ん・・・・・。アレ?屍人の森は?ビットにサイザ・・・・?アレ〜?」
と少し混乱状態のカービィの次にビットが起きた。
「何が・・・起きたんだ?う・・・頭いてぇ〜・・・・。ん?この紙は・・・。」
サイザの上に小さな紙切れがかぶせてある。何かの手紙の様だった。
ビットとカービィは声を合わせて手紙を読む。
「『いい実験体だった。実験データもとれたのでもう悔いはない。これで成仏できる。
そしてついでなので使った道具を機禅一緒に送る。明日にでもとどくだろ。』」
二人は顔を見合わせた。そしてカービィから・・・、
「ねぇ、ビット此処に、『成仏できる。』って書いてるんだけど。どーいう意味?」
「ハハッ・・・まさか・・・え・・?でも・・・?じゃああのじーさん。。。。もしかして・・・・。」
二人でいっせいに言う。
「『ゆーれい?』」
次の日。今は早朝七時半・・・ではなくお昼。
カービィの家の戸をコンコン、と叩く音に気づき、カービィはそっと扉を開けた。すると、
「どウも、かーびぃサん。機禅でス。コレを、マスターかラ。」
そういって機禅は、小さな珠を出した。それは赤、青、紫とある。
それは、昨日大五郎の手紙に書いてあったその、実験道具もとい変身道具である。
「これを・・・?」
「ソうでス。ちナみに赤ハかーびぃサん、蒼はさいざサん、紫は・・・・。」
「ビットかぁ〜・・・・。」
「ソうでス。ちナみに赤ハかーびぃサん、蒼はさいざサん、紫は・・・・。」
「もういい・・・・」
疲れた様子でカービィはがっくりと肩を思われる部分を落とす。
機禅はゆっくり言い始めたv。
「コレは能力でス。貴方達が強くナる為ノ。ソシテ時限をも越えラレまス。ソレでハ。」
「え?!ちょ、ちょっとまってよ!あ!機禅!!」
ソレが始まりだった。
迷惑な爺さんからの迷惑な贈り物。
カービィ達は手紙の裏に書いてある文字を読んでいなかった。
その後ろにはこう書いてあった事をしらない。
『その名も、ハチマキ戦隊ハチマキジャーとな!!』
知らない。というか、知りたくない現実である。
続く
〜管理人の感想〜
『ハチマキ戦隊ハチマキジャー』
そのまんまのネーミングに大爆笑してしまいました。
戦隊ヒーローねえ。
僕が幼稚園児の頃は『鳥人戦隊ジェットマン』をやってましたね。
友達と『ジェットマンごっこ』をやるほどはまっていた、と親は言っていました。
たしかに、頭のどっかに『ブルー』のセリフがいまだに残ってるなあ。
で、この小説の『ブルー』たるピット君は・・・生真面目な突っ込み役というところかな。