浦島太郎?


朝がきた。

ソファーに何かが寝ている。ピンクの球体。浦島太郎(カービィ)だった。

「・・ん〜・・・・・」

と、起きた瞬間目の前が急に暗くなったかと思うと床の上で転がっていた。

「あ、朝かぁ・・・・ ふぁぁあ〜」

あくびをすると重い足つきで食事に行く。すっかり慣れきっている感じだった。

そしてようやく着いたかと思うと不機嫌そうに椅子に座り、何かを考えているようにボーっとしている。一つため息を吐いた。

「(こんな生活いいのかな・・・?)」

自分だけがこんなところで楽しく愉快に遊んでいる。浦島太郎(カービィ)は町の人々を自分が見捨てたように思えてきた。

そんな罪悪感でいっぱいだった。

「どうしたんですか〜?」

目の前にいたのは蒼色のものがいた。甲羅のつけていて赤いし舌べらがでている。

それは前助けた亀(グーイ)だった。

「いやちょっと・・・・」

「帰りたいですか〜?」

「そんなことは・・・・ ・・・!・・・」

言いかけた瞬間行き詰った。どう言っていいのかわからなかった。

「そんなことない」といえばここに居たいということに決定されそうだった。

しかし「帰りたい」とも言えなかった。

ここの人達がせっかくもてなしてくれているというのに・・・そんなにハッキリ言ってしまっては可哀想だった。

こんな同情いらないだろうが考えてしまうのだから仕方がない。

「何でもないよ」

「そうですか♪」

「!?」

でてきたのはあの毒舌姫(アドレーヌ)だった。

「(デタ―――――――!!!)」

聞かれていた。(コレハヤバイ)と片仮名で思うと気にしていないようにたぬき寝入りをしていた。

「帰りたいですかぁ。私は一向に構いませんよ。どうでもいいので。」

でた。

「でもこの蒼色生命体(グーイ)が逝っちゃ駄目っていうならしょうがないですよね」

逝く・・?そして蒼色生命体・・・・?

「ってゆーかさっさといけw」

やめてくれ・・・。



「・・・帰りたい」

頭の中は村のことでいっぱいだった。みんなは無事か。無駄に殺生していないか。農業と漁業でちゃんとやっているか。

----町は襲われていないか----

「・・・やっぱり・・・・帰りたい・・・」

帰ってもいいのか?少なくともここの人は心配するだろう。

しかし村の人も心配しているんでは・・・?そう思った瞬間に何かがこう思わせた。



「帰ろう」



今の時刻は午前5時。

「よし!」という声と荷物を強く置く音が聞こえた。

目覚まし時計が鳴り出した。

目覚まし時計をさっと止めると小声で「ヤバイ!!」と一言言い、すぐに部屋からでていった。

「確か出口は・・・・」

出口への道を忍び足で歩くしかしハッキリと歩く音は聞こえていた。

「ポヨン」と可愛らしい音を立てながら道を平気で歩いている。

「どこいくんですか〜?」

「グハァ!!」

「・・・?」

そこにいたのは亀(グーイ)だった。

「お、脅かさないでよ!! せっかくここから出ようとしてたのに!!」

「え・・・」

「あ・・・」

時が止まったように感じた。

「いや、あの・・・だから、そのぉ〜・・」

「帰るんですか〜?」

「あ・・うん・・・」

「そうですか〜・・しょうがないですね〜ホームシック?」

「オイ」

亀(グーイ)は簡単に許してくれた。しかしその顔は少し寂しそうだった・・・。

「有難う」

「乙姫様に伝えてきます〜」

「ゑ!?あ、アァ・・・うん」

不安だ。

どんなことをいわれるかわからない・・・、絶対けなされるのがオチだ・・・・。

あの毒舌もこれで最後か・・・・と思うと少し寂しい。

「そう・・・帰っちゃうんですか・・」

「早!!」

「さよならぁ〜」

「早!!」

「あ、でもその前に・・」

「え?」

「このひげ剃り気を・・・」

「いらねぇよ!!ひげなんてねぇし!!どこをみたらひげがあるように見えるんだ!!」

「あら残念。」

(うぉい!!)という突っ込みを抑えつつ浦島太郎(カービィ)は出口に向かった。

「あ!まって!」

「?」

「この玉手箱を差し上げましょう。ちなみにあけたら白い煙が出てきますのであけないで下さいね」

「いうなよ!!っていうかじゃぁもらい意味ないし!!あけれねぇ!!」

「だからあけるなっていってるじゃないですか それに結果も言ってませんよw」

「・・・」

反論できないところが恐ろしい。

浦島太郎(カービィ)は玉手箱を受け取ると亀(グーイ)にまたがった。

「よろしくな」

浦島太郎(カービィ)はどんどん水上に上がっていく亀(グーイ)に一言声をかけた。これで最後なのだから・・・。



「着きました」

「ありがたう!」

「じゃぁこれでさよならですね・・・」

「うん・・・」

「お元気で〜」

「さぁよぉなぁらぁぁ!!」

(行ってしまった・・・もう帰る事はできない。いや、ここが故郷なのだから、行くことはできない・・・か・・・)

一人でそうフッと思うと海岸沿いに歩き始めた。

「(思えば長かったな・・・みんなはどうしているんだろう・・・。元気だろうか・・・)

「ん?お前誰だ?」

「え?」

そこに立っていたのは一人の青年だった。紺色の体をした同じ丸い球体。そして見たことのない服を着ていた

「え?じゃなくってさ、お前誰だ?見たことなくってさ」

「浦島太郎ですよ?僕は・・」

「浦島太郎?そんな奴は374年前に竜宮城にいって帰ってこなかったって噂のか?」

「え・・・・?」



浦島太郎(カービィ)の時代はすでに終わっていた。誰も・・村人もいない・・・仲間でさえも・・・。

浦島太郎(カービィ)は玉手箱を開けた。どうなってもいい。自分のいた時代にもどして欲しかった。

しかし・・・よくみるとそこには老いた人がいるだけだった。



「ハイ、これでおしま〜い!」

という声で一斉に拍手がなった。

「どうだったかしら?面白かった?」

「とっても!!」

「単純だな・・・」

「です〜」

そこにはいつものメンバー。アドレーヌ、カービィ、メタナイト、グーイがいた。



-END-



〜管理人の感想〜
いやあ、ギャグあり、シリアスありのストーリーでしたなあ。
今までのストーリーはカービィが読んでいたと言うのは、1つのおちですね。

浦島太郎はおじいさんになった後、鶴の羽を頭につけて宙返りをし、鶴になりました。
そして、助けた亀である、乙姫様と結婚したといわれています。
これが元で、『鶴は千年、亀は万年』という言葉が出たんでしょうなぁ。