I wish・・・
第1章 「貧乏人」
ある雪の降る夜、彼女は絵を書いていた。
彼女の名は『アドレーヌ』
毎日絵を書いて、お金を稼いでいるのです。
「おいっ!貧乏人がこっち見てるぞ!」
アドレーヌはいつも男の子たちに『貧乏人扱い』されているのです。
「こっち見るなよ、へんた〜い!」
でも、いつも心の中でアドレーヌは、こう思っています。
―貧乏なのは、そんなに悪いことなの?―
「しかもコイツこのくそ寒いのに薄汚い服一枚しか着てねぇぞ。」「この、貧乏絵描きばばぁ〜!」男の子たちは、笑いながら帰っていきました。
「寒い・・・でも一生懸命働いて帰らなきゃ。お母さんが待っているんだ・・・」
アドレーヌは、お金を確かめてみました。すると・・・「291円・・・今日もパンの耳をもらって帰るか・・・」
アドレーヌは、いつもパンの耳をたべるしかお金が無いのです。
「今回はいつもより少ないな。当然だよね、今日は特別な日だもん。皆綺麗な格好して、楽しそうだな。
しょうがない、今日はパンの耳をもらって帰ろう・・・」
「にゃぁ」
弱々しい声がアドレーヌの後ろをついてくる。
「なんだよお前、この雪をウロウロして・・・」それは、猫でした。
「にゃぁにゃぁ」「にーにー」「ごろにゃん」猫をよく見ると、子猫がでてきました。
「そっか、子猫がいるんだ。それで食べ物を探していたんだんね。」
「ほら、私の分をあげるよ。皆で分け合って食べるんだよ。」アドレーヌは、そっと手を伸ばしてあげました。
「にゃーにゃうにゃう」子猫はアドレーヌの分を食べて、ゆっくり雪の道を行ってしまいました。
続く