I  wish・・・  

第2章 「小さな悲しみ」


「ただいま、お母さん」

パンの耳を持って、アドレーヌが帰宅。

「おかえり、いつもすまないね。ゴホッゲホッ」

アドレーヌの母は、最も治らない病気とかで、いつも寝たきりになっています。

「大丈夫?お母さん。あ、コレ今日の食事ね」

アドレーヌは母の方へ、優しく手を伸ばす。

「ありがとう」

ガサッと、パンの耳が入っている袋を渡す。

「あれ?いつもより減っているけど、アドが食べたのかい?」

アドレーヌは一瞬はっとした。

でも、「うん。先に食べちゃってごめんね」

わざと、体の悪い母に優しくするのでした。

「そうかい」アドレーヌの母はクスッと笑った。

「な、なに?そんなにニヤニヤして・・・」

母はもういちどクスッと笑って言いました。

「アドは、優しいね。昔は、やんちゃだったのに・・・5歳の頃・・・」

「やめてっ!」アドレーヌは即答しました。

「フフフッ。アドは照れ屋さんなのね。」

アドレーヌは、くちをむぅっとさせて言いました。

「お母さんのバカ!」

「嘘よ、う〜そ!」

アドレーヌの母は、ちょっと落ち込んだような感じで言いました。

「ところで、今日は『サンタの日』だろう。アドは行かなくていいのかい?」

アドレーヌはちょっとうつむいて言いました。

「いいよ・・・必ず全員もらえるわけじゃないし・・・」

「でも、行くだけ言ってみたらどうだい?母さんなら平気だよ」

アドレーヌは元気よく、「うん!行くだけいってみるよ!」

ガチャッ、バタンッ



「貧乏人が何しにきたんだよ!」

「お前は一番最後だからな。その辺にすっこんでろよ!」

またいじめっ子たちがやってきました。

「・・・」

アドレーヌは黙りこんだまま、サンタを待ってました。

シャンシャンシャンシャン・・・

「おい見ろ!来たぞ!」

「ホントに飛んでる。すごいなぁ〜」

サンタが街に降りてきました。

「お待たせ。さぁ、良い子のみんなにおじさんからプレゼントだ!」

サンタは順番にプレゼントを渡してきました。

「わ〜い!」

「欲しかったんだぁ、これ〜」

子供たちの喜びの声が街中に広がります。

「さて、みんな帰ったか。プレゼントも無くなったな。」

「あの・・・」





続く