偶然から学ぶコト
第1話 水の中で見たモノ


ここはプププランド。

一見平和そうだが、今、一人の住民が絶対絶命の窮地に立たされている。

空は雲一つ無い快晴。

すぐ横に川が流れる道。

ここではごく平凡な風景。

川の水が太陽の光に反射し、煌いている。

そのすぐ側で、また別のものが煌いている。

・・・剣。

勢い良く振られる剣が、光に反射しているのだった。


ビュンッ


なんの躊躇いもなく、剣がカービィに向かって振り落とされる。

激しく風が避ける音が、相手が“本気”だという事を表している。


ヒュンッ ビュッ・・・


剣の連撃を一方的にかわしながら、なにやら叫んでいるカービィ。

然し相手は全く聞く耳持たず。

剣にあたらない様に注意しながら、一層声を張り上げて叫ぶ。

「メタちゃん、ストォォォ―――プッ!!冗談だってぇ!!冗談!!」

「冗談で済まされると思っているのかっ!!」

ビュウゥッ!!

剣での攻撃に、あまりに速いスピードで引き裂いた為か、風が混ざりはじめる。

メタナイトを静止しようと思ってやったことが、逆効果だった様だ。

「だ、だからぁっ・・・・!!」

もう一度静止を試みようとした、その時。

体がぐらりと傾いた。

後ろには川が。

「うわっ・・・。ととと・・・。」

体制を立て直そうと、手を必死に振りまわす。

少々危なげだが、少しずつ元に戻りはじめた。

「なんとか大丈夫だぁ・・・。よかった・・・。」

と安堵の息を吐いた直後、

何故かその性格には似合わないような“満面の笑み”を浮かべている(多分)、メタナイトと目が合った。

「大丈夫だと思うか?」

「メタちゃん・・・。まさか・・・。」

ぐらり。

予想どうり。

メタナイトの持つ剣の柄に体が押され、カービィの体は見事に川へダイビング・・・。

バシャァァッ!!

まさに“水に落ちました”という感じの音が聞こえた。

直後、体を覆う水にビックリして、大急ぎで水面に向かって泳ぐ。

その時、

こん

と、頭に何かがぶつかった。

(なんだろ・・・?)

とにかく水面へ、と、手足をばたつかせるが、

――――――その『何か』が、押さえつけている。

カービィにしては珍しく一瞬で、理解できた。

(メタちゃん・・・。誤ったのにぃ〜〜〜!!)

とにかく、強引にでも水面に上がらなければ。

何度も何度も試みるが、効果なし。

息もそろそろ切れてきて、凄く虚しくなってくる。

(はぁあぁぁぁぁぁ―――――――・・・。)

地上なら見事な溜息となっているような息を吐き出して、水の中だという事に気付く。

だんだん苦しくなってきて、少し視線を下におろして、目に入ったものに驚いて―――。

そこに、水中に、『スターロッド』が、漂っていた。



続く