偶然から学ぶコト
第2話 子悪魔妖精、登場


(な、なんで水中にスターロッドが!?)


驚くと共に、開いた口からこぽこぽと、空気が漏れ出していった。

苦しさも、徐々に上がってくる。

今ここで悩まず、後で考えたほうがよさそうだ。

(そうだ・・・!!早く上がらなきゃ・・・!!)

そこまで考えが及ぶのが少し遅い気もするが。

そこで、前回悩んでいた問題にぶつかった。

・・・頭を押しつけている柄を退けてくれなければ、上がれない。

(メタちゃん〜〜〜〜!!!!)

このまま溺れちゃったら呪うよ?と本気で考える。

考えているうちにも、更に口から空気が抜けていく。

そして無駄な足掻きを続けているうち、

もう絶えきれないほど苦しくなって、

ふっと苦しさがなくなっていって、

意識がだんだん遠くなっていって、

水の底に沈みそうになって、

―――頭の上が突然軽くなった。

(・・・よぉぉしっ!!)

気を取り直し、力を振り絞って水を掻く。



バシャァッ!



落ちる時とさほど変わらないような音が、辺りに響いた。



「はぁっはぁっ・・・・!!」


ようやく水から上がれたので、すぐに貪る様に空気を吸う。

日の光に照らされて、体に付いていた水滴はいつのまにか消えていた。

「ふぅ・・・。って、メタちゃんっ!!!」

そして一段落した所で、メタナイトに食って掛かる。

そしてヒラリとかわされ、地面に激突した。

「元はと言えば、カービィ、お前が事の根源だろう?」

そして、倒れたままのカービィに先ほどとは少し種類が違う、容赦ない攻撃が襲いかかる。

然しその口調は、だいぶ落ち着いていた。

「メタちゃんがあんなにキレるからでしょぉっ!!」

精一杯言い返す。

「そのキレた原因を作ったのは誰だ?」

「キレるほうが悪いのっ!!」

「じゃあ、“原因を作ったほうが悪い”と言おうか?」

「そ、それは明らかに、矛盾しています!!!」

「・・・?なんかパクってないか・・・?」

「いえいえ、別にそんな事はございません」

「・・・カービィ、『矛盾』の意味、知っているのか?」

「・・・くっ・・・!!弱いもの虐め反対っ!!」

「・・・・・。少なくとも・・・。」

「?」

「カービィ、私よりも強くなかったか・・・?」

「ん〜・・・。僕のほうが弱いと思うけどぉ?」

「じゃあ、前に私に勝ったのはなんだ?」

「きっと、貴方は夢を見ていたのでしょう・・・。はい、これにて問題解決!!」

「・・・したのか?」


と、一連の言い争いが終わったところに、リボンの声が響いた。

「はい、喧嘩終了〜♪」

「あれ・・・?リボン、いつからここに・・・?」

「え?あ、いや、カービィさんに伝えたい事があったんですけど、喧嘩が始まったので面白そうだったから見学してみようかなぁ、と・・・。」

・・・喧嘩が始まってから?

少し嫌な感じがして、恐る恐る聞いてみる。

「僕が溺れてるの、見てた?」


「・・・はい!!凄く面白かったです☆」


元気良く答えるリボン。

そして、その場に少しの間があく。

皆、別々の事を考えているようだったが。

(リボン・・・。面白かったの・・・?)

(ある意味で恐ろしいな・・・)

(カービィさんが焼かれてみたりしても面白そうかも・・・。今度誰かに相談してみよっかなー♪)

などなど。

リボンが物凄い事を考えていたような気もするが、ここはあえて無視の方向で。



「あ、そういえば。」

ポンと手を叩き合わせながらカービィが呟き、周りの沈黙状態が解ける。

いままで身じろぎ一つせず一心不乱に何かを考えていたメタナイトが(怖)顔を上げ、先を促す。

「・・・何かあったのか?」

「なんかね、さっきメタちゃんに『溺れさせられていた』時にさ・・・」

「いや、何故そこだけ強調する?(汗」

二人の会話を聞きながら、いつのまにか横でリボンがくすくすと笑っている。

「それで?」

後一歩の所で言葉が終わってしまい、重要な所がわからずもう一度メタナイトが促した。

「水の中で。うん、スターロッドがあったの。多分というより。多分」

「・・・は?」

少し言葉がおかしい気もするが、大体の意味は飲み込める。

その意味のほうが、おかしな口調よりもずっと変だった。

「スターロッドが?」

「うん、スターロッド。でも、見間違いかも〜・・・。あの時逝きかけてたし・・・。」

「・・・悪かったな」

そう言ったメタナイトの声はかなり低い。

「スターロッド・・・?って、なんですか?」

ほんの少し会話が途切れたところに、リボンが口を挟んだ。

カービィは一瞬不思議そうな表情を浮かべたが、すぐに納得して質問に答えた。

「あ、知らなかったんだっけ?夢が湧く所があるんだけどね、夢の泉って言って―――――(以下省略」



「うわぁ、意外と凄い場所あるんですねぇ〜♪」

結構長い説明の後、リボンが言った感想に引っ掛かりを感じるカービィ。

「・・・意外と?」

「あ、ううん、違います。面白い所ばっかりだったけどそこは綺麗なのかなぁ、と思って」

「・・・・・。」

すると、カービィが考え込みはじめた。

その考えが、メタナイトには察しがついた。

「スターロッドを見たんだろう?それを調べるのも兼ねて・・・行ってみるか」

そして呟いてみると、

「やったぁ!!見れるんだ♪」

「よぉしっ!!行こっ☆」

他の二人が飛びあがった。

「別に私だけが行く事を決める権限を持っているわけじゃないんだぞ・・・?」

ふと、そんな疑問を持った。


続く





〜管理人の感想〜
ブラックなリボン・・・・・・
新鮮でいいなぁ。小説版・雪使いシュガーみたい。
いや、2人とも可愛い妖精少女なんで。
容姿も似ているし。
可愛いけれど、性格はかなり毒があるというのも、かえっていいかも。
リボンの伝えたいことって、一体なんでしょうね。
ダークマターがスターロッドを狙っているとか?