幸せの条件
第4話〜瞳の忘れ物


宿に泊まったカービィ達。

カービィ「一緒にお風呂(露天風呂)入りにいこうよメタナイト♪」

メタナイト「……断る。(素顔を見られる事になるから)」

メイス「ワテらはメタナイト様と入るダスよ。」

リプリー「ワイはカービィと入るで!男同士仲良くしてや〜」

デデデ「あ、俺もカービィと入ろっと。マルクは?」

マルク「僕も入るのサ。ねぇ、デッキーちゃんは?一緒に入ろうなのサ!」

デッキーはおどおどしたレッカと先ほどから何か話しあっています。

デッキー「は?……ざけんじゃねぇ!変態かおめぇはっ!」

マルク「何でなのサ!レッカちゃんは女の子だから分かるけどサ。」

カービィ「デッキーは男でしょ!変態じゃないよ!!」

メタナイト「いや…デッキーは…」

デッキー「失礼な!俺様は女だ!ば〜か!」

デッキーの落ち着いたアルト声が耳に痛く突き刺さります。

宿に、皆の衝撃の絶叫が響きました。

メタナイト(女性だと気付いていたのは私だけか…)


〜風呂での会話〜

「ね、マルクってさ、どうしてこの旅のメンバーなの?(良い湯だな〜)」

「ポップスターは僕の物だから勝手に崩壊されちゃ困るのサ!(ちょっと熱いのサ)」

「……いつからお前の物になったんだよ…(ま、そこそこだな)」

「そういやデッキーって女の子なんだ…よね?」

「デッキーちゃんのあのキツメの性格と綺麗な瞳が僕の心を締め付け…」

「ワイが思うに、アイツの前でそれ言ったら殴られるじゃ済まへんで?(お湯ぬるいわ)」

…なんか凄く勝手な会話ですね。

レッカ「そろそろ寝よか〜アタシ眠たいねん。」

デッキー「んじゃ布団ひくか!…ぐっ…重たい……んあ?(急に軽くなったぞ?)」

メタナイト「大丈夫か?…私も手伝おう。一人より、二人の方が上手くいくだろう?」

デッキー「あ……ありがと…な。」

…そして布団もひけ、皆が寝静まったころ。

と言っても、カービィとメタナイトはまだ眠れないでいたのですが。

しばらくして、デッキーが起きている二人に思いつめた顔をして話しかけてきました。

デッキー「なぁ…おめぇらはさ、『自分が幸せになる』のと、

『自分の大切な人が幸せになる』のと…どっちを選ぶ?」

メタナイト「…貴女はどちらを選ぶ?」

デッキー「前者…と言いたいけど…実際は後者を選んじまうと思う。」

メタナイト「ではカービィ。お前はどうだ?」

カービィ「僕は両方!」

デッキー「んあ?」

カービィ「僕だけ幸せで皆が不幸なら僕は幸せじゃないもん!僕は『皆で幸せになる』を選ぶ!」

メタナイト「そういう事だ。」

そう言ってメタナイトは優しい目でデッキーの思いつめた真紅の目を見つめました。

デッキー「なるほど。おめぇ等らしいや。」

デッキーの表情が少し和らぎました。

カービィ「そういやさ、僕デッキーの笑顔ってまだ見たこと無いや。どうして笑わないの?」

そう。誰もが気付いていましたが、デッキーはこの旅の中で、一度も笑った事が無いのです。

怒った顔はしても、笑った顔はしないのです。

デッキーは、少しの間黙ってから、切ない表情をして答えました。

デッキー「…忘れちまったんだよ。笑う事をさ。」



そう言って、デッキーは布団に潜りこみました。

夜が静かに深けていきました。


続く