幸せのカギを探そう
心の記憶(中編)


「君・・・誰?」

アドレーヌの言葉を聞いた瞬間、カービィは唖然としてしまった。

「き・・君誰って・・・僕カービィだよ!忘れたの?!」

「カー・・・ビィ?あなたの名前?私は何なの?」

泣きかけた。今すぐここで怒鳴りたかった。

でもカービィが声を出そうとすると、すぐに言葉がのどの方でつっかえてしまう。

つっかえつっかえの言葉で、カービィはアドレーヌに質問した。

「僕達の・・事・・・忘れ・・ちゃったの?」

アドはポカンとした表情で、こう聞き返してきた。

「あなたの他にも誰かいるの?」

この返事を聞いた瞬間に、カービィは気づいてしまった。

信じたくない。でも、これが事実なのだ。カービィはつぶやいた。

「もしかして・・。記憶・・喪失?」


「なるほどな。記憶喪失か」

カービィはその事に気づいてしまった瞬間、何も考えずにアドレーヌの手をひき、

メタナイトの家まで一直線に走ってきてしまったらしい。

「ねぇ・・・アドちゃんは思い出すの?僕のこと。」

「さぁな・・時間がかかるとは思うが・・・」

満足できないような返事だ。

その話題に、アドレーヌが割り込んできた。

「私って記憶喪失なんですか?」

まったくその通りなのだが、カービィとメタナイトは無言のままだった。

「・・どうやったら思い出すかな?」

アドレーヌの視線を感じる中、カービィはとっさに質問した。

「いろんな風景や仲間を見せてやったらいいんじゃないのか?」

「そ、そうだ!それだよ!!それじゃあ、行こうアドちゃんっ」

と言って、アドレーヌの服をひっぱり、カービィはあわただしく駆け出した。

そして、そんなカービィとアドレーヌを、メタナイトは心配そうに見ていた。


「それでねぇっここがベジタブルバレー!前、一緒に散歩しに来たんだよっ」

アドレーヌの記憶をなくしてから十日たっていた。

カービィは十日間、アドレーヌにいろんなものを見せた。

もちろん、リックやクー、グーイやリボンも。

ポップスターにある、ありとあらゆるものを。全部。

その成果があったのだろうか。アドレーヌにも少し笑顔が見えはじめた。

カービィの名前もちゃんと覚えた。自分の名前も。他の仲間の名前だって覚えた。

でも、記憶は戻らない。

さらに五日がすぎた。でもやっぱり記憶は戻らない。

「まだ紹介してないものがたくさんあるんだなっ」

と言いながら、カービィはいつもよりまして気合いが入り、

いろんな場所、アドの事、仲間達を紹介していった。


「カービィさん、本当に優しくしてくれるんですね!」

さらに三日たった後、アドレーヌが笑顔で、そんな事を言ってくれた。

「アドちゃん仲間だもんっ他にも紹介してないものたくさんあるからねっ

もうちょっとで思い出すよ!!」

「そうですか・・・」

そんな話をしながら、二人は空を見上げていた。

空には白い雲が所々にあって、だんだん形がかわってゆく。

しかし、カービィの一言でアドレーヌの記憶に影響が出た。

「あの雲、ダークマターみたい」

ズキン

今、アドレーヌの頭に痛みがはしった。。

「あ、ダークマターってね。ものすごく悪い奴だよっ!

プププランドおそったりしてさ・・それでね・・・」

カービィの話を聞けば聞くほど、アドレーヌの頭が痛くなっていく。

そして最後の言葉。

「あんな奴、悪魔だよ」

・・・アドレヘヌの痛みは消えた。嘘のように。

でもそのかわりに、残酷な・・・幼い頃の記憶だけが残った。

アドレーヌが幼い時の・・・・







〜管理人の感想〜
こういうときは頭をハリセンか何かでぶったたく
・・・・というわけにはいきませんか。
なにやら謎が多くて、先行きがどきどきです。
ただ、カービィ、誰かを『悪魔』と呼ぶなんて。
僕のイメージとちょっと違うなあ、とも思ったり。