幸せのカギを探そう
心の記憶(前編)


どんなに叫んでも どんなに助けを求めても

手をさしのべてはくれなかった

誰も優しくなんかしてくれなかった


「アドちゃん・・・アードーちゃーん」

アドレーヌはハッとした。目の前でカービィが心配そうにアドレーヌを見ている。

今日、カービィとアドレーヌは、ベジタブルバレーまで一緒に散歩していたらしい。

「どうしたの?すごい汗・・・」

「う、ううん。大丈夫。平気よ」

と、無理な笑顔を見せるアドレーヌを見て気をつかってくれたのであろうか。

カービィが「そろそろ帰ろうか」と言って、アドレーヌを家までおくってあげた。

「あんまり、無理しないでね。」

そう言ってカービィは帰っていった。


「カービィさん、よくアドちゃんと一緒にいますよね、なぜですか??」

こんな事があった夜、グーイがカービィに質問した。

「なんていうかさ・・アドちゃん、最近元気がないんだ。

なんかおかしいんだよ!ボーッとしたり、目に涙を浮かべたり・・・

とにかくほっとけないんだよね」

そう言って、手早く食事をすませた後、カービィは自分のベッドに横になった。

しばらくしたら、憎悪の叫びのごとく、すさまじいいびきが聞こえた。


頭が痛い・・・クルシイ・・・

アドレーヌは家で一人、頭を抱えながら座っていた。

そして、しきりに独り言をつぶやいていた。

「何で・・何で?何であの時のこと、よく思い出すのかな・・・」

ウッとうめきながら、力無く立ち上がる。

「頭痛薬・・どこだっけ」と言いながらあたりを見回す。

頭痛薬が見つかったのであろうか。

そばにあった小さな棚の方へ、足を引きずりながら近づく。しかし・・・

最後の最後で力が抜けてしまい、丁度、棚の角の方にアドレーヌの頭があたった。

アドレーヌはうめき声をあげながら、倒れてしまった。


「アドちゃーん。ねぇ、アドちゃーん」

アドレーヌの家の前で、しきりにアドレーヌの名前を呼ぶカービィ。

「ねぇ、どうしたの?・・・って・・ん?」

ドアに手をかけたとき、ギィッという音をたてながら、ドアが開いた。

「まったく、アドちゃんも不用心な・・」

と言いながらドアを開けたが・・そこには、アドレーヌの後ろ姿があった。

石像のように、つっ立ったままの状態で固まっている。

「アドちゃんっいるなら返事してよ!!」

そう叫んだとき、アドレーヌはゆっくりと、カービィの方を見た。

しかし、以外な返事がかえってきた。

「君・・・・誰?」






〜管理人の感想〜
アドちゃん、記憶喪失になってしまったんでしょうか?
どうやら妙な夢を見ているようですね。
彼女を気遣うカービィもいい感じです。