銀河に・・・お願い・・・
***起きる騎士***


「・・・ミズア、きみ・・・」

辺りには時々電流が走って、その地面の草々の先から、妙な焦げ付いた臭いのする煙が上がる。

そう、それも全て、目の前のザコにすぎないはずのスクイッシー、ミズアがやった事だった。

ミズアは、少し苦笑いをする。

「いやぁ・・・驚かせちゃいましたかね?」

驚いたも何も・・・

僕は、初めて見るこの特異なスクイッシーを、ただただ見つめるばかりであった・・・。



――また、やっちゃいました・・・

こんな姿の私が、あんな技を使えば、誰だって驚く事は分かっていますのに。

・・・たぶん、この目の前の小さい戦士も、私を怪しい目で見るに違いありません・・・。

――私は、ただただ苦笑いをするばかりだった。

と。

ガシッ

「!?」

いきなり、目の前の小さい戦士、カービィさんは、私の手に当たる所を強く掴んだ。

その目は、キラキラ輝いていた。

「すごいよぉ!」

「・・・え?」

「すごいよ、ミズア!君、あんな事できたんだ!すごいなぁ・・・!」

――凄いって、貴方・・・――

私が、なぜ、凄いと言われるんですか?それも星の戦士である君に。

・・・今思った事を、そっくりそのまま彼に言うと、彼は不思議そうな顔をしながらも笑った。

「だって、本当にすごいんだもん。なんでそんな事いうの?」

・・・変わってますね、君は・・・。

この時思った事は、口には出さなかった。

仕事でなくとも、色んな方に出会ったけど、君みたいな方とは、たぶん初めて会いました。

記憶に埋もれてしまった人々を一人一人思い出すのは、容易い事ではありませんけど・・・

「・・・ミズア?」

「え?」

彼は、不思議そうに私の顔を見ている。

・・・どうやら、知らない間に、物思いに耽っていたらしい。

「・・・行きましょうか」

また顔に笑顔を作って、私はそこにあるドアを潜って行きました。

そのあとから、慌てて追いかけてくるカービィを見て、私の顔にはいつの間にか本当の笑顔が出来はじめていた。

「――ミズア〜、僕が戦うから、メタちゃん背負ってよ〜」←密かに禁句

「ダメ。そういう力仕事は私には向いてません」

「くぅ・・・」

・・・どうでもいいですけど、あの方、絶対仮病ですよ?(あえて言いませんが)

―――数分後。

僕はミズアの案内で、今、不思議な空間へ来ていた。

・・・周り四方八方を囲む水。僕の頭上までもが水で覆われていて、下に落ちずにいるその水面がとても不思議だ。

と、ミズアがいきなり、意外な事を言い出した。

「・・・そろそろ寝るふり、やめたらどうですか?」

「!!?」

「もう、充分休んだでしょう?」

――えっ!?

じゃあ、メタナイトは今まで仮病してたって事・・・!?

と、ミズアの言葉に驚くと同時に、僕の背中が急に軽くなった。

「・・・まあまあってとこだな」

ブチッ

「まあまあ・・・じゃ、ないよっ!」

僕は、背中から降りたメタナイトに向かって蹴りを入れたが、軽くかわされてしまった。

「酷いよ、メタちゃんっ!」

「メタナイトだ」

剣の柄に手をかけるメタナイト。その目の光を見て、僕はその場から動けなくなった。

「貴様、さっきはよくもその禁句を言ってくれたな・・・」

メタナイトの周りに、殺気のオーラが漂い始めてる・・・

僕はもう、文句一つ言えなくなってしまった。

「・・・う・・・」

「・・・と言う事で、借りは無しだ」

ああ、酷いよ、メタナイト・・・

しかしこの文句も、もうメタナイトに言えなくなってしまっていた。

「――ところで・・・」

いきなり、そこにミズアが割り込んできた。

「倒れたのは、満更仮病でもなかったみたいですね?」

えっ、と、僕はミズアを振りかえる。

ミズアは更に続ける。

「先程のあの技一発だけで倒れるとは思えません。何かその前にもう疲れていた様でしたが?」

そして、僕とミズアがメタナイトの方をじぃ〜っと見ていると、彼は溜息を吐いた。

「・・・理由が聞きたいのか?」

「「はい、是非とも!」」

僕達は更にメタナイトを見つめた。

・・・そしてとうとう、彼は諦めたように、一度大きく呼吸したかと思うと、一気に言った。

「では言おう・・・・私は、陽月の喧嘩の直前まで、陛下のたまった仕事を替わりに片付けていた。

その書類の量を見てみろ。よくもあんなに溜めこんだものだ・・・と、驚くやら呆れるやら。

そこにあの事件だ。そこで仕事を中断したが、それでもまだ三日徹夜して余る量があったぞ!

私はその時点で一週間徹夜したのに。で、その眠気を引きずりながら、今回の旅に出た訳だが、

フロリアでカービィが・・・・」

「あぁ〜〜〜!!もう、いいよ!もう分かったから!」

「ご苦労様です・・・(汗)・・・ところで、今さっき言いかけた、フロリアで、何が・・・」

「ああああぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

ビクッ

「・・・・・・・???」

「あの・・・どうしました?」

「う、ううん・・・べぇつぅにぃぃ〜♪」

・・・ミズアにはそう言いながら、僕はさり気なくメタナイトに近寄った。

そして、メタナイトの暴走にフロリアの案内者が巻き込まれたかも知れない・・・という事実を、

声を潜めて静かに話した。

「(・・・・・・と、いうこと)」

「(うぬぅ・・・ありえるな)」

「さらっと認めるなあぁ〜〜〜!!!」

「さっきから、二人で何ひそひそ話をしてるんです?」

「あ、ううん、別に・・・ははっ」

「(全然別にという顔してませんが・・・)とにかく、あのドアに入りますよ」

不思議そうにこちらを見ながらも、ミズアは一つのドアを指す。

その周り・・・つまり、水中に位置するこの空間。ここには、さっきまでメタ・ナイツが居たが・・・

「・・・あいつら、鍛え直さないといかんなぁ・・・」

「ねぇ、さっきの君の部下でしょ!?君が一言『退け』って言えば済んだのに!なのに、

仮病の君がいかにも(僕に)やられたって感じで、僕の背中にずっと居座っていたから、

誤解されて戦うハメになっちゃったんじゃないかぁ!!」

「で、勝ったんだろ?」 グサッ、と、突き刺さるその一言。

「うっ・・・う、うん・・・」

事実なだけに、言い返せないのが悔しい。

「しかも、戦闘はほとんどミズアが受け持っていたではないか」

「ああ、もう!分かったよ、もう文句は言いません」

負けた・・・

メタナイト、騎士より弁護士の方が合っているんじゃないかな、と僕は思う。

剣技じゃいつも勝っているのに、言葉で負けるなんて・・・

そんな僕の様子が分かったのか、メタナイトは静かに鼻で笑った。

・・・そっちは静かに笑ったつもりでも、こっちはしっかり聞こえているよ・・・

「分かればいい。で、ミズア、このドアの先は?」

さくさく話を進めるメタナイト。ああ、もう、要領良すぎるよ君は。

「このドアの先には、“コピーの素”があります」

「「コピーの素(もと)!?」」

「貴方達も一度は見ているはず・・・まさか、今までずっと素手で戦ってきたわけではありますまい」



――・・・そうだ、思い出した。

フロリアで、何かキラキラ光るモノを見つけて、それをとったらファイターになれたんだっけ・・・

「この先にあるのは、ソードコピーの素。さあ、先を急ぐのなら手っ取り早く取っちゃいましょう!」

「いや、別に取らなくったって、いいんじゃないかな・・・?」

「コピーは多く取っといた方が無難です」

まあ、言われてみれば確かにそうだ・・・

この先、どんな敵がいるとも分からないし。

「さあ、行きましょう」

そう言ってドアに入っていくミズアの後を、僕達は慌ててついていった。



続く


あとがき
いやあ、無駄に長いです。(ぉ
アクアリス編は長くなりそうだ・・・(汗
まあ、できるだけ縮められるよう努力はしますが;;(滝汗
・・・次はさくさくっと進めたいです・・・。