レジェンド ツリー
第一章  この木何の木?


春風とともに春の陽気がやってきた。

天気は快晴で暖かく、誰もが眠たくなるような気候である。

「あぁ〜・・・春ってあったかくて気持ち良いよねぇ〜」

草の上でごろり、と横になりながらカービィは言った。

すると隣でカービィ同様に寝転がっているワドルディが、

「そうですね〜・・・僕は季節の中で春が一番好きだな〜」

と言った。

彼らの目線の先には雲ひとつない青空が広がっていた。

「ふぁぁ〜・・・眠たくなってきちゃったよ」

と、カービィは薄目で言った。

赤い親友はすでに深い眠りについており、すやすやと寝息をたてていた。

「あらら、ワドルディもう寝ちゃったか・・・」

そう言うとカービィは急にむくリと起き上がり、辺りを見回した。

僕を助けて・・・。

そういう呼び声が聞こえた。

「誰・・?どこなの!?」

キョロキョロと周りを見渡してみるが、横に眠っているワドルディ以外だれも見当たらない。

カービィは呼び声のする方へとダッシュした。

−数分後ー

「この森の中から聞こえる」

森の入り口に立っているカービィは、「立ち入り禁止」と書かれた看板に目もくれず、森の中へと入っていった。

しばらくすると広い草むらに出た。

カービィの目の前には大きく、太くそして天までとどくかのような高い木があった。

「なんだろう・・・この木」

緑のツルは渦を巻きながらのびていて、幹はとても生き生きとしている。

樹齢五百年、いや千年以上はあるだろう。



カービィはその木に触れてみると、あきらかに他の木とはちがった不思議な感じがする。

そしてしだいに呼び声は、風とともに消えていった。

「あなたもその木に興味があるの?」

後ろから声が聞こえて、カービィは振り向いた。

そこには茶色の長い髪をしていて、頭に白と赤のバンダナの巻いている女の子が立っていた。

まるで人間のような体格をしている。背はカービィよりも少し高いのが分かる。

「なんかこの木ってひかれるものがあるのよね」

赤白のバンダナをした女の子が言った。

カービィはただぼーっとしている。

「あっ・・・ごめんなさい、いきなり声かけちゃって、私の名前はケヤキ、おとといこの木を発見したの」

ケヤキと名乗る女の子は言った。

「僕はカービィ、僕を呼ぶ声が聞こえてここまで来たんだけど・・・」

カービィは言った。

するとケヤキが

「呼び声?まさかこの木が!?」

と、驚いたようすで言った。

「それはどうか分からないけどね」

とカービィは木を見て回った。

するとなにやら幹の間に大きな穴が開いている。

「なにかな・・・この穴」

カービィは近づいてみると、再び呼び声が聞こえた。

「この穴だ!この穴から呼ぶ声が聞こえるよ!」

とカービィは言った。

「この穴から?」

ケヤキは再び驚いた。

「よし!行ってみよう!この声の主は誰なのか調べてくる!」

カービィはそう言うと穴のなかへ入っていた。

「あっ!ちょ・・ちょっと!」

ケヤキは止めようとしたが、もうカービィは穴の奥へといってしまった。

静かになると、ケヤキはつぶやいた。

星の勇者カービィ・・・どうか・・・お兄ちゃんたちを助けて・・・。



続く